社内恋愛狂想曲
葉月がカードに書かれていたメッセージを、おそらくその女性のものであろう声色と口調を真似て再現すると、今度は伊藤くんが拳をテーブルに叩きつける。

「だから!あれは向こうが勝手にやったことだろ!だいたい特別親切にした覚えもねぇし、業務上の付き合いしかしてねぇよ!俺はこの先も近付くつもりなんかないって言ってんじゃん!」

「せやったらあの女にハッキリそう言えばええやろ!鼻の下伸ばしとったくせに!自分こそ同棲してる彼女がいてるて言わんのか!」

再びヒートアップしてしまった二人の顔を、またしても瀧内くんが両手を横に伸ばして押さえつける。

「ギャーギャーうるさい!黙ってろって言っただろ!」

瀧内くんが怒るのも無理はない。

二人とも自分の存在を隠して相手にいい顔をしている婚約者を見るのが面白くないだけなのだから。

結局、葉月も伊藤くんも、お互いに好きで好きでしょうがないっていうことだ。

「そんなに他人にとられたくないなら、この人と付き合ってるって公言すればいいじゃん。どうせもうすぐ結婚するんだし」

瀧内くんの一言に、葉月と伊藤くんは顔を見合わせる。

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