社内恋愛狂想曲
「そんなこと言って、潤くんだって6年以上も佐野に社内片想いしてたじゃん。それだって佐野にコクってもしフラれたら気まずくなって同じ部署には居づらくなるとか、そういう理由だろ?そのくせまだ付き合うどころか告白すらしてもないのに、みんなの前で“志織は俺の婚約者だ”とか言うんだもんな」

伊藤くんが不服そうに呟くと、潤さんは眉間にシワを寄せて右の眉をピクリと動かした。

「潤くんは休職中だから知らないだろうけど、佐野は会社の人に潤くんとのこといろいろ聞かれてるじゃん。うまく行ったから良かったけど、もし佐野に他に好きな人がいたら、もっとめんどくさいことになってたと思うよ? 嘘でも本気でも婚約中でも社内恋愛なんだからさ」

潤さんはまたテーブルに箸を置いて、顔をひきつらせながら伊藤くんの顔を見る。

「もう終わった」

潤さんの一言に3人は耳を疑い、顔を寄せてひそひそと話し始めた。

「えっ、終わったって……」

「あんなに盛り上がってたのに、まさかもう別れたんですかね?」

「別れたら一緒に帰って来んやろ」

「いや、だって佐野はマンションには戻れないから、別れてもここに帰ってくるしかないわけだし……」

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