秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「ご結婚なさるそうですね」
「‥‥‥‥。」
そんな海斗さんの唐突な発言に、スプーンを口に運ぶ手が一瞬止まった。
誰が、なんて聞かなくてもわかる。
「‥ご存知だったんですね」
「結構噂されてますから。レコード会社のお嬢さんと?」
「はい。すごく綺麗で、素敵な方です」
「へぇ」
海斗さんはそう呟くと、また意地悪そうに口角を上げた。
そんな海斗さんの表情にビクっとして目を反らす。
─‥何かを見透かすような目。
「九条さんはその結婚に賛成ですか?」
「‥‥賛成も何も、その気のなかった最上社長に私が勧めました」
そう言うと、海斗さんが意外そうに目を丸くした。
なんだか落ち着かなくなって、お冷やを口にする。
「それは意外でした。てっきりお二人は交際されてるのかと思ってたんですけど」
「‥‥‥‥っ!?」
私と柊ちゃんが交際‥!
口に含んだお冷やを思わず吹き出しそうになってこらえる。
そんな私の様子を、海斗さんは笑うわけでもなくただ真剣な顔で見つめていた。