秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

『若菜の部屋はそのままだし、お父さんもきっと喜ぶわ。いつでも帰ってらっしゃい』

優しいお母さんの声に胸がきゅっとなって、
思わず泣き出してしまいそうになるのを堪えた。

「うん、ありがとう」

『ただ、後悔だけはしないようにね。』

「え‥‥?」

『柊君がもし結婚したら、いくら柊君の秘書と言えど話せる時間は減るだろうし、素直に言えない事だってきっと出てくるわ』

「‥‥‥‥。」

『残りの時間、大切にね』

うん。と答えて、
それから少し話してから電話を終えた。

それから何を話したかはよく覚えていない。
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