秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

──ただ、後悔だけはしないようにね。

お母さんの言葉が耳に痛い。

後悔なら─‥後悔ならもうしてる。

前に一度だけ。
高校生の時に、
柊ちゃんから好きだと言われた事があった。

あの時、頷いてれば。
柊ちゃんの想いに答えていれば。

今は、変わっていたのかな。

あの頃は、柊ちゃんの事を異性として意識したことはなくて、私にとって柊ちゃんは頼れる仲のいい幼なじみでしかなかった。

もっと。

もっとはやくに自分の気持ちに気付けていたら。
蓋をしないでいたら。

そうしたらせめて、気持ちを伝える事くらいは出来たかもしれないのに。

今じゃもう、自分の気持ちを素直に伝える事なんて出来ない。許されない。

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