秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

スマホを握りしめながら、ぎゅっと目を強くつむって俯いた時だった。

コンコン‥っと部屋の扉が鳴った。

扉の向こうから、
柊ちゃんの優しい声が掛かる。

「若菜、晩飯出来たから。
片付け一段落ついたらおいで」

「あっ、うん!」

裏返りそうな声でそう返事をして部屋を出た。
片付けならもうだいぶ終わっている。

リビングに行くとテーブルにはもう夕食が並べられていた。

チャーハンと、コンソメスープ。
ちょっぴり不恰好にリンゴを剥いてくれているのが一手間だ。

コンソメスープは好きなメーカーのインスタントのものだけど、チャーハンは柊ちゃんの手作り。

料理が苦手な柊ちゃんだけど、
なぜかチャーハンだけは作るのがすごく上手で、私が忙しそうだからと今日は柊ちゃんが作ってくれた。

「美味しそう!柊ちゃんありがとう」

「いや、味の保証はほんと無いんだけど‥」

そういって柊ちゃんがバツが悪そうに笑った。

「でも、ウサギリンゴは頑張った」

「えっ‥!」
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