秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


「‥お願いだから謝るな。
いい歳して朝も起きられない俺が百パーセント悪いに決まってるだろ。九条がいなかったらそれこそ間に合わなかったんだ」

いつもより近い距離でそんな柊ちゃんの声が響く。なんだか急に小っ恥ずかしくなって、顎に掛けられていた柊ちゃんの手をほどいて少し離れた。

「そ、それでも、最上社長が朝起きられない事は、大前提じゃないですか。私の責任です」

「九条、絶対馬鹿にしてるだろ」

「してないですよ。‥あ、最上社長、お昼はどうなさいますか?その、すみません、今朝はお弁当が間に合わなくって‥‥」

柊ちゃんはグループの社長さんであり、節約したりする必要はないのだけれど、いつもは柊ちゃんからの希望でお昼は毎日お弁当を作っていた。

ただ今日はさすがにそんな時間はなくて、作ることができなかったのだ。

「近くのレストランを予約しましょうか?あ、それとも出前を‥」

そういってスーツのポケットからケータイを取り出すと、柊ちゃんから慌てて止められた。

「ちょっと待って。じゃあ今日は一緒に社員食堂行こう?」

「へっ?」
< 22 / 276 >

この作品をシェア

pagetop