秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「今宵様‥?」
私のおぼつかない足取りを見て
心配するような表情になった黒川にしかめっ面のままツカツカと歩いて近づく。
目の前で止まってから、
こんな私の事を心配するような眼差しで見つめてくれる黒川に、今だけ甘えたくなった。
ごめんと息で呟いて、そのまま
黒川にぐったりともたれかかる。
黒川は何も言わない。
私も何も喋らない。
ただ、何かを堪えるように口を横に結ぶのも、
しかめっ面でいるのも疲れて、
強ばっていた表情を解くように目を閉じた。
どうしたのかと聞かない余裕が黒川だ。
だけど、黒川は何も聞かない代わりに
私の頭を右手で優しく撫でてくれた。
───子供の頃、
いつもそうしてくれていたように。