秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
ストレートに言うのは躊躇いがあって返す言葉に口ごもっていると、そのまま丸め込まれて気づけば社員食堂に連れていかれていた。
───‥
お昼時の社員食堂。たくさんの社員で賑わっていた食堂に柊ちゃんが足を踏み入れると、なんとなくだけど、一瞬だけ空気が変わったのがわかった。
近くにいた女性社員さんが頬を染める。
遠慮がちにちらっとだけど、みんなの視線が柊ちゃんに集まるのが分かった。
やっぱり、柊ちゃん目立ってるよ‥!
先を歩く広い背中を見ながらそんな事を思う。
当の本人様は全く気がついてないみたいだけど‥。
確かに柊ちゃんはそのルックスから雑誌のインタビューの依頼なんかも多くて、社員さん以外にも"最上社長"の顔を知っている人はたくさんいるはず。
確かに、柊ちゃんは芸能人ですか?ってくらいのオーラがある。
憧れられちゃうのも当然かも。
「どれがいい?」
「‥‥‥‥。」
「おーい」
「‥‥‥‥。」
「九条、どうした?」
「‥‥へっ?あっ、な、なんですかっ?」
食券機の前でそう名前をよばれ、ハッとしてそう返した。
私ったら、周りの視線が気になって、柊ちゃんの声が聞こえてなかったのかな‥。