秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
───嘘だ。
若菜は昔から嘘がつけない。
…というか絶望的に下手だ。
何年一緒にいると思ってる?
「嘘だよな、それ」
「嘘なんかじゃない。…本当」
問い詰めると、とぼけるようにして言ってじりじりと若菜が離れていく。
壁際まで逃げた時に、壁に手をついて若菜を閉じ込めた。
「若菜、白状しないといい加減怒るよ」
若菜が怯んだように身を竦める。
念を押すように低い声でもう一度名前を呼ぶと、消え入りそうな声が返ってきた。
「柊ちゃんが私の事を今までみたいに心配してくれたりして、私のせいで今宵さんとの事が駄目になったらいけないって…安心させなきゃって、思ったらから…」
若菜の口からは動機しか返ってこなかったが大体の事はわかった。
なんだそれ…。
じゃあ俺が今まで気に病んでた事って…。
壁についていた手を下ろす。
体中から力が抜けた。
──…じゃあ、遠慮する理由なんて。