秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「若菜。…俺と今宵さんは、最初から婚約なんかしてない」

「え…ええっ!?」

若菜が大きな瞳をますます大きく見開いた。
そのぽかーんとした表情のまま、その場に腰が抜けたようにストンとしゃがみ込んだ。

「付き合ってもない。ごめん、全部周りの人騙してた」


しゃがみ込んでしまった若菜に、
俺も腰を下ろして視線を合わせる。


「何度か一緒に出掛けたのも、今宵さんに両親を納得させる縁談を断る理由が欲しいからって頼まれたからで、最初からお互いに結婚する気も無かった」

「結婚する気、無かったの?」

そう尋ねる若菜に答える。

ずっと怖かった。
居心地のいい温度が守れるなら、続くなら。
壁を壊さなくてもいいと思っていた。

───でも。

もう二度と戻れなくても。
若菜を困らせても。






「俺が好きなのは若菜だから」

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