秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「はい、九条です」
『最上だ。いきなり電話してすまないな。今は食事中か?』
電話越しに、落ち着いた低い光一さんの声が響く。
「いえ、お久しぶりにお電話頂けて嬉しいです。はい、今食べていた所です。」
『そうか。じゃあ、食事が終わってから俺の部屋に寄ってもらってもいいか?』
「はい、食事が終わりましたら、伺わせて頂きます。」
『ありがとう。それと、柊は置いて君一人で来て欲しい。』
‥‥私一人で?
そんな事は珍しいなと小さく驚くけれど、午後から柊ちゃんは今度開催されるオーディションの事でプロデューサーさん達とミーティングがあって忙しいからよかったかも、と胸を撫で下ろす。
「分かりました」
相手には見えないけれど、
思わずそう言って頷く。
『‥‥ありがとう。それじゃあまた』
そうやって電話は切れた。