半身。然るに片羽。

「静流。外からお別れを言わないか?」

微かに動いたのを見た俺は、外に歩き出した。
静流は静かに着いてきた。



煙が空に溶けていく…



腰を下ろすと静流も隣に腰を下ろした。
2人で静かにお別れをしていた。

「静流。お前って自分のは視えないのか?」

何気なく聞いた事だったが、ビクッと反応を示した静流だった。

「ずっと謝ってるよ、ごめんね静流ってさー」

俺が言うと

「……自分のは…視えた事…ない…」

と初めて弱音を見せた静流がいて、それを引き金に、たがが緩む。
静流は号泣だった。

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