半身。然るに片羽。
「初めて視たよ、俺」
そう言うと
「私だって、初めて聴いたよ。うん、もう大丈夫だよ」
と微かに笑った静流。
「あんな風に視えてんだな」
俺は呟く。
お前が視ている世界というのはなんとも無機質な灰色の世界だったな。
「え?いつもと違うよ。一葉のせいじゃないの?」
と驚きの返事が返ってきて2人で驚いた…
「自分の後ろが視えたし。絶対一葉の力だよ」
既に気丈に振る舞っている。
いつもの静流でいたいらしい。
「何はともあれ、最後に言えて良かったな」
どちらの力かは分からない。
でも最後に会えたのは良かったと俺は今素直に思う。
本家と言っているが、静流の母方のご両親は既に他界しているらしく、叔父さんだか従兄弟とかが今は本家を継いだとの話しで。
静流は、これで本当に合尾家とは無関係になっちゃったと言って笑った。
俺が13歳の誕生日を迎える5月前の事だった。