35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
シャワーを浴びてハーフサイズのワインボトル片手にテラスに出る。

今夜は大きな月が出ていた。

「月がきれいに見える部屋を選んだ」
貴くんの言う通りここのリビングルームは大きな窓で月がよく見える。
けれど、今夜は部屋の中にいたくなかった。

高級な中層マンションなのだけど残念なことにこの街は騒音がひどい。
部屋の中にいれば気にならないけれど、テラスに出ると幹線道路で無謀運転するバイクや改造した車のマフラーから吐き出される不快な排気音や街のざわめきが耳につく。

それでも月の光を浴びたくて、テラスに出ることを選びヘッドホンをして携帯型音楽プレイヤーの電源を入れた。
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