未来を見るなら、君と一緒に
「潤?それ、本気で聞いてる?」



少し怒ったような、それでいてどこか傷ついたような顔になる陽くん。



「本気だよ?」


「潤、俺は潤のこと……「言っちゃダメ」



陽くんの口を空いてる方の手で抑える。



「潤……」



手を離すと辛そうな声であたしの名前を口にする。



「言われたらもう……」



あとには戻れなくなる。

もちろん、陽くんのこと信用していないわけじゃない。
陽くんはあんな最低なことをしないってわかってる。
でも、それは賢晴にだって思っていたことで。

あのころ、あたしは賢晴のことを大好きだったし、すごく信用していた。

それなのに裏切られていた現実は想像以上にあたしの心にしこりを残していったようだ。

付き合って、信じて。
そして裏切られるなら、そんな未来は見なくてもいい。

いまのこの関係の方が心地よい。



「別に付き合おうとか俺は望んでないよ」


「え?」


「潤がまた裏切られたらどうしようとか。そういう気持ちになるのは分かるし。だから、いつか誰かと付き合いたいなってまた思えたときは俺のことも考えてよ」


あぁ、なんてこの人は優しいんだろう。

絶対に裏切るわけなんてないのに。
どうして、踏み切れないんだろう。

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