未来を見るなら、君と一緒に
あたしと陽くんは本当なら再会するはずじゃなかった。

あたしにも陽くんにも乗り越えなきゃならない過去があって。
その過去がなければ、あたしたちが再び出会うことはなかったんだろう。



「陽くんとまた出会えたから、辛い過去もいいものに思えてくる」


「うん……なんていったら光の逆鱗に触れるから言えねぇけど。でもそれがなかったら俺も普通に就職してて潤に出会ってないんだよね」



全てがいまとなっては、意味のある出来事だったんだと感じる。

何も無かったら、あたしは賢晴と結婚の話出ていてもおさしくないだろうし。
陽くんだって、ほかの誰かに出会ってたのかもしれない。



「陽くんにまたあえてよかった」


「うん。まさかの再会だった。俺、なんだかんだ会えないあいだもずっと忘れてなかったから」


「ありがとう。陽くん、大好き」



いまこうして、素直に伝えられる。

あんなに怖かった。
誰かをまた好きになること。
誰かとまた付き合うこと。

また、裏切られるかもしれないって考えが付きまとった。

でも、たとえもしもそんな現実が待っていたとしても。
いまこの瞬間、幸せだからそれでいい。

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