君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「一ノ瀬さんじゃないですか。そういえば、ようやく三年前の得意先を取り戻したらしいね。まったく、大切な得意先を失うだけでも大事なのに、取引再開まで三年も費やすなんて。温室育ちのお坊ちゃまはこれだから」


そんな言い方ひどい。
彼はたしかに御曹司ではあるけれど『温室育ち』では決してない。

だってライフテクノロジー事業部で一番勉強を積み、故に知識が豊富で、彼に聞けばなんでも答えてくれるくらいだもの。


「その節は、会社にもご迷惑をおかけしました。気を引き締め精進いたします」


しかし一ノ瀬さんは一切反論せず低姿勢を保っている。
相手は誰なんだろう。

気になりこっそり覗くと、おそらく五十代の常務の秘書だった。

それにしても『取引再開』ってどの会社のこと? 最近取引が始まったのは、ジェネリックを専門とする共堂(きょうどう)製薬くらいだけど。


「ライフテクノロジー事業部ですらまともに勤務できないのでは、社長のイスなんて願わないほうがいいですよ。それどころか、うちの主要事業部には上がってこられないですね」
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