君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「もう製造したあとだし、返品もできなくて。共堂製薬に大損失を与えてしまったんだ。それで責任を取って三谷商事もその代金の一部を肩代わりした」


まさか、一ノ瀬さんほど完璧な人が、そんな経験をしているとは意外だった。


「ですが、サンプルはOKだったんですよね」
「そうだね。出来上がった商品も、基準にあとわずか届かなかっただけ。だけど、たとえわずかでもクリアできなければ商品として流通させられない。海外ではそのくらいの誤差は通ってしまうから、輸入元の会社も粗悪品ではないと言い張ってね」


たしかに日本の求める水準は非常に高く、品質管理には最新の注意を払うよう、彼からもきつく指導を受けている。

もしかして、この経験があるからこそなのかもしれない。


「抜き取り検査をすべきだった。俺の甘さが招いた結果だ」


改めて厳しい世界だと感じる。一ノ瀬さんですら失敗してしまうなんて。
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