君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
『すぐに』といっても、彼のマンションからここまでは、車で四十分ほどかかる。
それまでどうしていたらいいんだろう。

とにかく戻って帰宅することを伝えようとトイレから出ていくと、目の前に哲也がいて血の気が引くのがわかった。


「お前、なんなの? 婚約を自慢しに来たわけ?」
「そういう、わけじゃ……」


ただ、幸せなところを見せて、彼に浮気をしたことを後悔させたいとは正直思った。


「俺はあれから散々だったのに、お前だけ幸せになるとか、おかしくない?」
「どういうこと?」


『散々だった』って、あの彼女と付き合ったんじゃないの?


「お前の親だよ。婚約破棄なんてうちの娘が軽々しくするはずがないだとさ。それで、興信所を使って俺のことを調べたんだよ!」


嘘……。そんな話、ひと言も聞いてない。


「私、知らない……」
「嘘つけ。お前が泣きついたんだろ? それでアイツとのことがバレて、婚約不履行だと会社にチクられて出世街道から外されたんだよ! おかげで子会社に出向さ」
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