君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「あっ、これは……。先ほどドゥシャインにも行ってきまして。偶然商品開発にいらっしゃった本城副社長が、新しいアイシャドウとチークを試したいからと、メイクしてくださったんです」


せっかくだからとすべてメイクしなおしてくれた本城さんのテクニックは一流で、自分で施すときより目は大きく、そして小顔に見える。


「そうか。ドゥシャインもうまくいってるんだな。副社長に気に入られるとは」
「恐縮です」


欲しいと言われるデータやサンプルを、必死に探して——ときには作ってもらい、持っていく日々だけど、『北里さんに聞けば必要なものは手に入る』と言ってもらえるようにはなっている。


それから席に戻り書類整理をしたあと、ちょっとひと息。

休憩室に向かい、自販機の前でなにを買おうか迷っていると、悠馬さんがやってきた。


「お疲れさまです」
「お疲れ。ブラックコーヒー頼む」


私に五百円玉を渡す彼は「北里もそれで飲め」とおごってくれるようだ。
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