君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
彼女はあきらめた様子で店内に入り、キャシーさん、悠馬さん、私の順で板前さんの前のカウンター席に座る。

ここ、メニューも料金表もない。
時価ってやつなんだわ、きっと。

料金が気になる人は来てはいなないお寿司屋さんだ。

熱燗を注文してひと口ずつ飲んだあと、「握りますか?」と板前さんに尋ねられ、ギクッとする。


「キャシー、食べたいものをどうぞ」


悠馬さんが促すと「大トロ、中トロ」と即座に答えている。
余程好きなのだろう。


「北里はどうする? お任せでも大丈夫?」
「はい、お願いします」


おそらく私が頼む順番がわからず緊張しているのに気づいた彼は、板前さんのお任せにしてくれた。


「それではここふたりはお任せで」


悠馬さんが板前さんに頼むと、キャシーさんは私たちが注文を合わせたことが気に入らないのか、顔をしかめている。


「キャシーは日本びいきだね。日本酒もお寿司も好きなんだから」
「ユーマが日本のことを教えてくれました。あれもこれも」
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