君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「お肉を柔らかくする技を試してみたかったのと……肉じゃがに似てるので」


正直に告白すると彼は噴き出している。


「なるほど、肉じゃがか。言われてみればそうだな」


玉ねぎと人参とジャガイモ。
肉じゃがは豚バラ肉で作ったけれど、材料で違うのはお肉の種類だけ。


「一説には肉じゃがはビーフシチューの失敗作だったらしいよ?」


彼が思わぬことを言いだすので、仰天だ。


「へぇー、初耳です」
「明治時代。とある海軍司令官がビーフシチューを作るように料理長に指示をしたんだけど、デミグラスソースがわからなくて肉じゃがができたらしいぞ。失敗作だったけどそれもうまくて広まったとか」

「そうなんですね。それじゃあ今日は、成功作のほうです」


私が意気揚々と告げると、「楽しませてもらうよ」とワインのグラスを手にして、私のグラスと合わせた。

先ほど感じた違和感はない。
やはり考えすぎだったようだ。
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