君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
会社に戻ると、早速一ノ瀬さんに報告だ。


「本日、飛び込みで初めて訪問した化粧品会社からシリコーンオイルの質問を受けまして、検討していただけることになりました」

「さすがだな、北里は。二年前からその行動力は変わっていない。慣れてくると機動力が落ちるものなんだが」


一ノ瀬さんに褒められ気分が高揚する。
部下として働いていた頃も、彼に褒められることが一番うれしかった。


「いえ、まだまだです。もっと勉強します」
「北里が勉強を積んでいるのはわかっているよ。例のジェネリック医薬品の件でも、どんな専門用語を使っても話が通じたからね」


実はインドにいる彼とはよくやり取りをしていた。
メールが主だったが急ぎのときは電話で。

そのときのことを言っているのだろう。


「ありがとうございます」


彼が優しく微笑んでくれたので、私も笑顔で返した。

そのあと、事務処理をする前にコーヒーを淹れようと給湯室に向かうと、あとから一ノ瀬さんもやってきた。
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