君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「変かもな。衝撃で混乱してるんだ。一番近くにいるつもりだったんだけど」


それはどういう意味?
目を白黒させている間に前菜が運ばれてきて、場の空気が和んだ。


「今日は、北里が頑張ったご褒美だ。送ってやるからワイン飲んでもいいぞ?」
「上司が飲んでないのに、飲めるわけがありません」
「上司がね……」


意味深な言い方をする彼は「それじゃあ、改めて乾杯」と炭酸水のグラスを合わせる。

なんなんだろう。
いつもと雰囲気が違い、戸惑ってしまう。


「本当に今日はよく頑張った。乳糖の話から打錠機まで持っていくとは。さすがに驚いたよ」
「ありがとうございます」


食べるのがもったいないほど美しく盛り付けられた前菜にナイフを入れると、彼も口に運んでいる。

今日の目的は新薬の錠剤を作る際に添加物として使われる乳糖の売り込みのためだった。
だけど、話を聞いているうちに、製造するスピードが遅く効率が悪くて困っているということを知った。
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