君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
彼の仕事が終わるまで明日の仕事をしているつもりだったのに、なにも手につかなくなった。

それから十五分。
一ノ瀬さんが立ち上がったので視線を向けると、アイコンタクトしてくる。『出るぞ』と言っているに違いない。

彼が「お疲れさまでした」と帰っていくのを見守ってから、私もバッグを持ちフロアをあとにする。

玄関まで行くと、彼が待っていてくれた。


「悪いな。一緒に出ると刺されるのかと思って」


彼女のフリを頼まれたときそんなことを言ったのを覚えていたらしい。


「ですね。ここも危ないんですけど」


彼は背が高いのでとても目立つのだ。


「それじゃあ移動するか。タクシー拾おう」


仕事はいつも国産のセダン型の営業車。
でも個人では、ベンツに乗っているとの噂だ。

それなのに今は一社員だからと、直行直帰をしない限り、私たちと同じように電車通勤をしている。

おそらくとてつもないお金持ちなのに、私たちと同じ感覚を持っているところも魅力のひとつだ。
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