君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「あのっ、転勤されるんですか?」


タクシーに乗り込んだ早々、我慢しきれずに尋ねると、彼は目を丸くしている。


「聞いたのか?」


それじゃあ、やっぱり彼なの?


「イヤです私」


他人の転勤をイヤだなんて言う権利がないのは百も承知だ。
だけど、言わずにはいられない。


「あはは。イヤって。でもうれしいな。そんなふうに言ってもらえるとは。目の上のたんこぶがいなくなってせいせいするかと思ってた」
「そんなわけないじゃないですか。私がどれだけ一ノ瀬さんのことを……」
「ん? 好き?」
「茶化さないでください」


彼は仕事が終わると、途端に柔らかくなり話しやすい。


「茶化してないさ。そうだといいなと思っただけ」


彼は前を向いたままつぶやいた。
なんだろう。彼は時々ちょっと変だ。


「海外って本当ですか?」
「あぁ。インド」
「インド!」


思いがけない国名が出て、目が飛び出しそうになる。
だけどすぐに納得した。
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