君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
インドは製薬業が盛んで、今や世界一の伸び率だという。だからか。


「急速に伸びてますもんね」
「さすがは俺の部下。勉強済みか」


彼は頬を緩めるけれど、私はこわばったまま。


「でも、どうして一ノ瀬さんが? 会社を継ぐような人が行くところじゃありません」


それが正直な気持ち。
彼なら事業部を変わってもやっていけるし、なんなら陣頭指揮をとれるような優秀な人なのに。

そろそろエネルギー事業部に配置換えがあったとしても、常務以外は誰も文句なんてないはずだ。
自ら海外にシェアを拡大しに行かなくても、日本でできることがある。

私は彼を止めたくてたまらなかった。


「うーん。その逆だよ。いつか三谷商事を背負いたいと思っているから、インドに行くんだ」
「え、わかんないです……」


泣きそうだった。
一ノ瀬さんがいなくなっても自分はやっていけるのかどうかという不安はもちろんだけど、それ以上に大切な人を失ってしまうという喪失感が大きくて、気持ちが整わない。
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