君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「えっと、お帰りなさい」
「サンキュ」


合わさったグラスがカチンと高い音を奏でる。
甘めのワインをひと口飲んで、テーブルに戻した。


「強引に悪かったね」
「本当ですよ?」
「はははっ、正直だな」


彼は肩を揺らしている。


「でも、こうでもしないと言わないだろ」
「な、なにをでしょう?」


間違いなく哲也のことだとわかっているのに、濁してみる。
あまり話したくない。


「嫁に行かなかったのは、どうして?」


するとど真ん中に直球が投げ込まれ、息を呑む。


「言わないと、いけませんか?」
「できれば。聞かないと進めない」


進むって、どこに?
首を傾げつつ彼のほうを見ると、視線が絡まりほどけなくなってしまった。

やはり彼は酔っているのだろうか。
いつもより艶っぽく感じる目元に、ドキドキしてしまう。


「浮気に気づいてしまったんです。二度目だったので、もう無理だと。それに『かわいくない』『守ってやりたいと感じる要素がひとつもない』だそうです」
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