君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
なかばやけっぱちに言い捨てると、彼は目を大きく開いている。


「それであの頃、元気がなかったのか……」


そういえば電話口でそんな指摘もされた。


「心配をおかけしてすみま……あっ」


突然抱きしめられ、大きな声が出てしまう。


「ひとりで耐えたのか? 俺を頼ってこいと言わなかったか?」
「だって、仕事の話じゃないですから」
「仕事じゃなくたって構わない。北里のことが心配でたまらないんだ」


彼にそう囁かれ。じわじわと涙がにじんでくる。

哲也とのことはもう終わったんだと気持ちに区切りをつけたつもりなのに、なにかしらの拍子に思い出してしまい、今でも苦しい。


「お前は、守ってやらないと壊れちまうのに」
「一ノ瀬さん……」


哲也とは正反対のことを言われ、とうとう涙腺が崩壊した。

私はそんなに強くない。
私だって誰かの温かな愛に包まれたい。


「これからは俺に守らせてくれないか? お前のことがずっと好きだった」
「えっ……」
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