天才策士は一途な愛に跪く。
「当たり前だろ・・。心配したんだからなー。」
ため息交じりに私に笑顔を向けた。
「だからさ、絶対に幸せになれよ、晶!!
山科さんも・・。今度彼女を離したら、俺がかっさらいますからね!!」
「怖いな・・。でも、残念ながら、そんなことにはならないけどね。」
その言葉に、聖人は苦い表情で笑っていた。
この2人にどんなやり取りがあったんだろう??
私は首を傾げて見上げていた。
大学院時代からの親友、遥は泣いていた。
「晶!!ピアノ聞いてたんだよ。凄い・・感動した!!」
「有難う。、恥ずかしいな・・。もう、みんなでいつから居たの!?」
その言葉にみんなが気まずそうに、視線を反らした。
・・・全部見てたんだ。
顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた遥かに、瑠維がまたいらない一言を言って
激怒させていた。
慧に絡まれて、困り顔だった聖人が私の腰をそっと抱いて耳元で囁いた。
「そうだ・・。」
「怪我が治ったら、覚悟してって言ってたの覚えてる?」
私は、ピキッとその場に凍り付いた。
そう言って、意味ありげに笑顔で私に微笑んだ。
覚えのあるその言葉に、冷たい汗が背中に流れた。
赤い顔でパクパクと口を開けた私を見て、笑うと
唇に一瞬だけ、口づけを落として笑った。
・・・っええ??みんないるのにっ。
動揺して倒れそうになった私の肩をそっと抱いた。
「そんな可愛い顔してると、今すぐ攫っちゃうよ?」
「や、それは・・。あの、勘弁してください。」
「そう?待ちすぎてさ、当分はベッドから離してあげられそうにないけど?。」
美麗なドアップに、熱が出そうなくらいドキドキしていた。
な、なんと・・。
聖人くんの、過激な愛情表現にはなんとなく気づいていた・・。
だけど、果たして私の手に負えるのかしら・・。
サーッと顔が青ざめた。
「さあ・・。我が家で晩餐を行いましょう。遥々遠くから来てくれた
娘の友人達をおもてなしさせてください。」
そう父が大きな声で告げると、みんなが微笑んだ。
ここまで来てくれた友人たち、そしていつも支えてくれる人たちに
心から感謝していた。
ゾロゾロと出口に向かうみんなの後ろに続いた私は、ふと後ろを振り返る。
さっきまで弾いていたピアノには、今もまだ美しい光が降り注いでいた。
ステンドグラスの眩い光と、その美しいチャペルは幻想的だった。
私の様子に気づいた聖人は立ち止まってほほ笑んでいた。
「晶、ここ、アルバンが、香澄さんにプロポーズした場所なんだって。」
「そうなの!?知らなかった・・・。」
「君の本当の両親のような・・、いつまでも仲のいい夫婦になろうね。」
私の手をそっと繋いで大好きな優しい笑顔で笑った。