天才策士は一途な愛に跪く。
「ふーん・・。運動しないと豚になるぞ。」

「余計なお世話だし!!
瑠維こそ、会食三昧じゃん。美味しいもの食べてばかりいるとお腹に贅肉がつくんだから。」

水着姿の互いの体温が伝わる距離に私は少しだけ全身に緊張が走った。

見た目とのギャップが激しい男らしい身体に支えられた私は、慌てて身を起こして
離れた。

「俺は、ジム行ってるし太らない体質だっての!!ほらっ、大丈夫か?」

砂に座り込んだ私に大きな手を差し伸べて笑った。

「・・・うん。ありがと。」

不服そうに手を取ると、ぐいっと引っ張られて身体を起こされた。

立ち上がろうとした瞬間、日差しに当てられたのか、眩暈のようなものを感じてふらついた。

「おい!!大丈夫か?」

瑠維の力強い腕は私を再度支えてくれた。

寝不足のせいか、最近眩暈を感じることが多かった。

「大丈夫??晶は、昨日まで論文書いてたんでしょ?あまり寝てないよね。
今日は飛行機での移動日だし、ちょっと疲れてるんじゃない??」

肩より少し短い茶色に染めたミディアムロングの綺麗なストレートヘアがトレードマークの私の親友
賀川遥が心配そうに、私を見上げた。

ハッと何かに気づいた瑠維は私の顔色を見て焦ったように声を上げた。

「ああ、そっか。気が利かなくて悪いな!!なんか飲み物持ってくる!!」

瑠維は、膝についた砂を払うと怜を連れてビーチの先にあるホテルへと急いで戻った。


「大丈夫。相変わらず遥は心配症なんだから。ほらっ、大丈夫!!元気だよ!?」

ポニーテールに束ねた長い髪を揺らした私の顔色を見ると表情を曇らせた。

「日頃の行いだってば!!人の話を聞くのに、いつも自分の身を顧みないんだもの。
晶は一人で放っとけないんだって!!
あの鈍い瑠維だって察するくらい顔色悪いよ?」

「・・そんなに顔色悪い?やだな、ごめん。
旅行の前の日ぐらい早く休めば良かった!!」

私はあちゃーと顔を頭を小突いて苦く笑った。

「また根詰めてるでしょ?
カウンセリングもしてるんでしょ。
その他に、転職前に引継ぎやら何やらバタバタしてる中での論文の修正してるんだもんね。
この旅行ではみんな知れた仲なんだから、遠慮しないでね。」

遥はいつも私を心配してくれる。

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