天才策士は一途な愛に跪く。
怜と瑠維は遥に話の先を聞こうとするが、私ががっちりガードした。
「・・・っ。何でもないっ。何でもないから気にしないで!」
「とにかく、来月から山科メディカルに行くことになりましたんで、
どうぞ、お見知りおき下さい!!以上・・。」
「・・・ふーん。まぁ、良かったな。初恋の人に会えて。」
良かったと思ってないような表情で瑠維がボソッと呟いた。
「うん!!あの時追いかけて良かったよ。
お陰でちゃんと山科くんと話が出来たの。これも、瑠維のお陰だよ!!」
「ああ・・。そりゃどういたしまして。」
何故か瑠維は一瞬だけ苦しそうな表情を見せた。
話題を変えて、怜の大学の話を振ると状況をすぐ読んでくれる彼はゼミの話を話し始めた。
新しく赴任してきた教授は個性的なキャラクターらしく面白いネタは尽きない。
お腹が満たされた私たちは、お酒を飲みながら談笑した。
遥は時々、言わないのか?と不思議そうに私を見るけど、
進行中の恋愛なので公にしたくなかった。
もし聖人に迷惑がかかったらと考えるとあまり言いたくなかった。
寝不足気味で迷惑ばかりかけてしまっていた私は、食事が終わった後早々に
先に部屋に戻って明日のマリンスポーツに備えて休むことにしたのだった。
バーに移動した3人は、落ち着いた店内のバーカウンターに並んで座った。
ホテル内の海辺のバーは、テラス戸が全部外されていて浜辺と隔てない空間が提供されていた為
波音が聞こえて、浜辺の散策にも乗り出せるような心地よい場所だった。
座るとすぐに勢いよく飲みだした遥を怜は止めながらも、
黙々と酒を飲む瑠維の間に挟まれながら困ったような表情だった。
「‥‥馬鹿だね、瑠維は。何よ、あの態度・・。マジで最悪だった!」
遥が、ため息交じりに酒をぐいっと飲み干して瑠維のほうを睨みつけた。
怜もそこには異存はないようで、ぐびぐび酒を飲みながらうんうん頷きながら同意する。
「は・・?何だよ。別に普通じゃん。2人して感じ悪いなー!!」
瑠維は、グラスを置くと2人のほうを向きなおした。
苛立ちを露わにした遥は詰め寄るように瑠維の童顔を思い切り睨みつけた。
「にっぶいよね・・。いつまで気づかない振りしてんのよ。」