時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>
翌日、アメリが約束の時間に馬車着き場に行くと、なぜかカールだけでなくブランもアメリを待ち構えていた。


「どうしてブランがここに?」


アメリが問えば、カールは気まずそうに視線を逸らす。


「いや、カールがこの頃昼過ぎになるとコソコソ消えるから、怪しく思ってついて来たんですよ。ていうかアメリ様とデートなんて、お前ズルいぞ」


能天気な口調で、ブランがカールを肘でつつく。


アメリは、腹をくくった。見つかったのなら、ことの成り行きを秘密にしておくわけにはいかない。







馬車に乗りケプラーの邸に向かう道中、アメリはブランにここ数日の外出の理由についてを話した。もちろん、カールと同じく予言の書の改ざんについては伏せ、ケプラーに頼みごとがあって連日通っていることだけを手短に伝える。


「なるほどね。そのケプラーってやつを、口説けばいいわけですね。そういうことなら、おまかせください。俺に、秘策があります」


あどけなさの残る顔に満面の笑みを浮かべ、ブランは自信たっぷりに自らの胸を叩く。


「秘策って何だよ。お前の考えは、いつも浅はかだからな」


「うるさいな、黙っとけカール。俺はいざという時にはやれる男なんだよ」


不安な気持ちで二人のささやかな小競り合いをアメリが見ているうちに、三人の乗った馬車は森を抜けケプラー邸へとたどり着いた。








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