時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>
その日は、どんなに門を叩いても、ケプラーは姿を見せなかった。
いつも門を開けてくれる老女も、構うなと指示されているのだろう。邸は、不気味なほどにひっそりと静まり返っている。
「とうとう、姿すら見せなくなってしまいましたね」
「そうね……」
残念そうなカールの声に、アメリは立ち尽くしたままそう返すことしか出来なかった。
「よし。じゃあ、俺の出番だな」
すると、二人の隣で様子を見ていたブランが、おもむろに塀を登りはじめた。
男にしては小柄なだけあって、素早い身のこなしであっという間にそこそこの高さの塀を乗り越える。
「おい、ブラン。お前、何やってんだよ」
「何って、決まってるだろう」
鉄柵の兵の向こうに降り立ったブランが、悪戯っぽく笑って見せる。
「弱みを握って、ケプラーを脅すのさ」
いつも門を開けてくれる老女も、構うなと指示されているのだろう。邸は、不気味なほどにひっそりと静まり返っている。
「とうとう、姿すら見せなくなってしまいましたね」
「そうね……」
残念そうなカールの声に、アメリは立ち尽くしたままそう返すことしか出来なかった。
「よし。じゃあ、俺の出番だな」
すると、二人の隣で様子を見ていたブランが、おもむろに塀を登りはじめた。
男にしては小柄なだけあって、素早い身のこなしであっという間にそこそこの高さの塀を乗り越える。
「おい、ブラン。お前、何やってんだよ」
「何って、決まってるだろう」
鉄柵の兵の向こうに降り立ったブランが、悪戯っぽく笑って見せる。
「弱みを握って、ケプラーを脅すのさ」