うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
そんなことを考えながら、社長の今後のスケジュールを確認していると内線が鳴った。

すぐに出ると電話越しからは社長の焦った声が聞こえてきた。

『井上くん、悪い。すぐにこちらへ来てくれないか』

「え、あっ……」

一方的に言うと社長は『待っている』と言うと内線を切ってしまった。

受話器を戻し立ち上がったものの、社長の焦った声に不安を覚える。なにか大きな問題でも起こったのだろうか。

緊張しながら社長室に向かいドアをノックすると、すぐに「入ってくれ」の声が返ってきた。

「失礼します」

いつものように断りを入れて室内に足を踏み入れると、社長は神妙な面持ちで私を出迎えた。

「社長、どうされましたか?」

彼のデスクの前まで足を進めると、社長は真っ直ぐ私を見据えた。

「井上くん……折り入って頼みたいことがあるんだ」

「……はい、なんでしょうか」

深刻な表情の社長に身体中に緊張がはしる。やはり、なにかトラブルでも起こったのだろうか。
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