うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「だからキミに来てほしくなかったんだ」

「え? どういう意味ですか?」

ポツリと呟いた彼に問うと、副社長はゆっくりと立ち上がり、バツが悪そうな顔を見せた。

「仕事と同じように、自分の身の回りのことくらい簡単にできると思っていたんだ。……しかし思いの外、掃除や料理が難しく、このありさまだ」

肩を落とす副社長を横目にもう一度部屋の中を見渡す。

リビングは物が散乱していて、洗濯物もソファに置きっぱなし。次にキッチンへ目を向けると、遠目からでもシンクには鍋やフライパン、食器などの山が見える。

「ごみの分別もよくわからず、気づいたらゴミの日に出すのを忘れてばかり。仕事をしながら家事をしようと思っても、なかなかできず……情けない」

本気で落ち込む副社長に、ある思いが頭をよぎる。

「副社長……この部屋を見られたくなかったから、私に来るなとおっしゃったのですか?」

様子を窺いながら尋ねると彼は目を泳がせ、「あぁ」としまりの悪い返事をした。
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