うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
だめだ、『帰ってほしい』と言われたけれど、こんなに体調の悪い副社長を残して帰れるわけないよ。

自分を奮い立たせ、副社長と対峙した。

「申し訳ありませんが副社長、私は社長に頼まれて訪ねてまいりました。なので私には副社長を看病する義務がございます」

「な、に言って……」

「失礼します」

声を遮り、副社長の身体を押し退け、上がり込む。止められそうになるも、フラフラな彼に私を捕らえることはできない。

パンプスを脱ぎ、スタスタと廊下を抜けて行く。

「待ってくれ」

背後から副社長の声が聞こえてきたけれど、止まることなくリビングダインングへ足を踏み入れた。

「え……」

けれど広々とした二十畳ほどの室内を見て呆然となる。

部屋中、引っ越してきたばかりとは思えないほど、荒れ果てていたのだから。

遅れて入ってきた副社長は、立ち尽くす私を見て大きなため息を漏らしながら、その場にしゃがみ込んだ。
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