うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
『ごめん、今大丈夫か? もしかして寝ていた?』

「いいえ、全然です。……廉二郎さんは今帰ってきたんですか?」

『あぁ』

大きく息を吐いた彼から、すぐに疲れているのだと気づく。時計を見れば二十三時を回っていた。

こんな時間まで仕事をしていたなんて……。

「お疲れ様でした。……身体、大丈夫ですか? 無理していませんか?」

心配で尋ねると、彼はクスリと笑った。

『大丈夫だよ。……最近のすみれはそればかりだな』

「……当たり前です」

心配するに決まっている。私の前では弱音を吐いてくれないからこそ、余計に。

『ありがとう。日葵に心配してもらえるだけで充分。……あ、それより今日は悪かったな。朱美が突然秘書課に乗り込んで来たんだって? 聞いてびっくりしたよ』

彼の口から出た『朱美』に胸がズキッと痛む。

彼女が彼のことを『廉二郎』と呼んでいるように、廉二郎さんも彼女のことを『朱美』と呼んでいるんだ。
< 263 / 330 >

この作品をシェア

pagetop