うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
すると彼は運転席の窓を開けて顔を覗かせた。

「それじゃおやすみ」

「はい。……送ってくださり、ありがとうござました」

すぐに廉二郎さんが運転する車は去っていく。

見送った後、家に入るとみんな寝ているようでシンと静まり返っている。

そのまま明かりもつけず、リビングのソファに力なく腰を下ろし、背もたれに体重を預けた。

「もう……苦しませたくない、な」

誰もいない室内に響く自分の声。

人を好きになって初めて知った。廉二郎さんが苦しんでいるのがこんなにも辛いことだって。

もうこれ以上、廉二郎さんの苦しむ姿を見たくない。今の彼のそばにいられたって、私も辛くて悲しくなるだけだもの。

ゆっくりと立ち上がり、自分の部屋へ向かった。



一週間後――。

「井上くん、これは……?」

誰もいない小会議室で驚く課長に渡したのは辞表。
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