[完] 空に希望を乗せて [長編]

恋バナ

「ねえ、茉夏って好きな人いないの?」
外練の休憩中、美結が恋バナをしだした。みんながきゃっきゃ言ってる中、ぼーっとしていたら、愛桜に急に振られてびっくりする。
「それー!気になってた!」
「流石に高校生なんだからいるでしょー?」
うっ、と声が出る。
「え、まさか」
「いないの??」
みんなの声がシンクロした。しゅんとして、こくんと頷く。
「まじかー!」
「初恋は?」
首を振る。異性を好きとか嫌いとか、友達以上で考えたことはない。感じたこともない。
「なになにー?」
「恋バナ?」
先輩たちも混じってくる。うわ、結構バレちゃうかも。初恋まだなんて、恥ずかしいよ。
「あたしも初恋まだだよー」
「おなじくー」
みんなが驚いた顔をしてばっと声の主をみる。恵梨香先輩とカナ先輩だ。みんなの口がポカーンと開く。唖然呆然あたりは騒然。
「え、じゃあ恵梨香が中学のとき付き合ってたのは…」
「告白されて、好きになれるかなって付き合ってただけなの…」
恵梨香先輩が恥ずかしそうにいう。
「叶恵は?」
「あたしは…告られたことはあるにはあるんだけど…振っちゃって…。」
「なんで!!」
「・・・。そのー、苦手な子だったの」
「まじかぁぁぁ」
女の子ってなんでこんなに難しくて、恋、するんだろ…。
「あたしも彼氏いたことなーい」
愛桜の声。はい?うそでしょ?
「うそ!!愛桜が?」
私の心を代弁するように美結が言ってくれる。
「ほんとだよー!中1で告って、振られちゃった…。」
「あ、愛桜を振るなんて…」
「ありえんな…。」
「本当に大好きな人だったの…。その後も普通に接してくれてさ…。」
愛桜…。こんな可愛い愛桜、みたことない…。恋する乙女はやっぱり可愛い。
恋か・・・。いつかしてみたいな。
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