[完] 空に希望を乗せて [長編]

車の中で

夏の大会。別の言葉でいえば引退試合と言われるもの。あーあ、と息をつく。去年の分裂して終わった大会を思い出してしまう。あんなこと、先輩たちになってほしくない。中学は高校という名の｢次｣があるからいいものの、高校は「次｣がない。だからこそ後悔はして欲しくない。今日は学校に集合して、誰かに乗せてもらって行くことになっている。
｢じゃあ、今日の配車割りは…。｣

私は美結と留奈先輩と共に藍先輩の車に乗ることになった。3年生の先輩となんてちょっと緊張する。
｢えっと、留奈と、美結ちゃんと茉夏ちゃんよね、こっち来てー｣
私たちは無言でついて行く。
｢先輩の車って緊張するね…｣
美結が小声で話しかけてくる。
｢ほんとそれ。｣
｢何話しよんよ？｣
藍先輩が苦笑しつつつっこむ。
｢みんな乗ってー｣
｢お願いしまーす｣
と各自言いながら乗せてもらう。自然と声が小さくなる。
｢じゃ！あたしはねるんで！｣
留奈先輩…動き出してすぐ、先輩は即寝た。
｢先輩はや…｣
｢留奈はいっつもこうよー。他人の車なのにねー｣
藍先輩が軽く笑う。笑顔が優しくってみてるこっちがドキッとする。先輩の笑顔はなんだか愛情を感じれる。そんな先輩の笑顔は好きだ。そんなこんなで留奈先輩を除いた私たち3人は、着くまで小声で話し続けた。ちょっと緊張もしたけど、とても楽しかった。ますます先輩に引退して欲しくない、と思えた。