[完] 空に希望を乗せて [長編]

最後の大会

「先輩ファイトでーす!」
「頑張って下さーい!」
美海先輩が個人戦のシングルで出ている。相手はジュニアに入っていたようなかなり強い人。勝てないけど後悔ない試合をしてくる!って宣言して試合に臨んで行った。先輩が1点取った!と思ったその時。先輩が倒れた。多分熱中症。今日の気温は37度近くある。線審をしていたカナ先輩が駆け寄る。そして所持しているタオルであおぎ出した。辺りが騒がしくなる。衝撃の事態。相手チームの人も美海先輩を冷やしだす。ふっと先輩の意識が戻る。
「大丈夫です!ありがとうございます。」
なんとなく先輩の声らしき声が聞こえてくる。冷やしてくれていた敵チームの選手も自分のコートに戻っていく。助け合いの精神をはっきりと見たようなきがして、なんだか嬉しくなった。
結果は負けてしまった。上がってきた先輩は涙目で、でも
「完全燃焼してきた!」
と屈託なく笑う姿は、きらきらと輝いていた。団体戦は昨日敗退。個人戦は、ってとこで、残るはカナ先輩、里奈先輩里羽先輩ペアだけだ。
「絶対勝ってくる。」
3人ともそう宣言していったものの、相手はかなりの強豪。やはり負けて帰ってきた。
「おつかれさまでした。」
そんな声もかけられない雰囲気。なぜならみんな泣いているからだ。これで終わり。そんな実感がしみじみ湧いてきたのだろう。そして先輩たち計14名は引退した。
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