[完] 空に希望を乗せて [長編]
第十二章

時間

「ねぇ茉夏の恋に進展ないの?」
日曜日の昼下がり。久々に美結と二人きりで遊んでいる夏休みの1ページ。美結が唐突に切り出すからたじろいでしまう。
「なに?急に。」
「いやー。あたしも進展ないからさ、茉夏はどうかなって思って。」
「ないよ〜。部活も忙しいしね。」
「それな〜。星セン部活入れすぎや。」
ほとんど毎日、日曜日以外は部活を入れてくる。狂ってしまいそう。熱中症になるー
「でもね、私、髪切ってみよっかなって思ってる。」
「まじで!茉夏似合いそ〜」
「そうかな…。」
髪の先をいじる。
「まぁ暑いしいいんじゃない?」
「そう?明日切りいくんだ〜!」
「写メおくれー!」
「えぇ。自撮りー??」
「お願ーい!明日明後日部活ないじゃん!」
「だーめ!お楽しみ」
ふふっと笑う。こんなふうに美結と過ごす時間がスキ。この時間が永遠に続けばいいのに。
「ねぇ茉夏」
「ん?」
「あたしたちってさ、どうやって仲良くなったんだっけ」
目線を遠くにやりつつ、唇からストローを話しつつ美結が言う。
「ん?部活が一緒だったからじゃない?」
「うーん、そっかぁ。」
「なんで?」
「最近よく考えちゃうんだよね。茉夏はあたしのこと友達って思ってる?」
「うん」
「うわ即答やん!」
くくっと笑いながら言う。
「美結は?」
「もちろん友達だよ。」
「良かった。」
その時の美結の神妙な顔つきが気になりつつも、今日という名の幕は閉じていった。
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