[完] 空に希望を乗せて [長編]
第十五章

夏へのスタート

「スプリングカップが終わって1週間が経ちました。あと1ヶ月半もすれば3年生の皆さんは引退になります…。地区大会にすすめば2ヶ月、県大会にすすめば2ヶ月半。とりあえず、県大会出場を目指しましょう!」
「「はい!」」
いつもより威勢のいい声。みんな引退を目前にして気合いが入っているのだろう。もちろん私もだけど。

「はー…ホントに僅かしかないんだね〜」
「県大会までなんていけるかなー?」
「個人ならだれかいけるんじゃない?」
「そうだね!がんばるか!」
「おー!!」
今大会、3年生全員が個人戦、団体戦ともに出場することになっている。シングルのみの人、ダブルスのみでペアが違う人、シングル、ダブルスどっちも、の3つに別れる。
ちなみにあたしは両方。というか大体がそう。ダブルスほとんど組んだことないから緊張する。

「ねぇみてみて!」
「ん?愛桜?どうした?」
「じゃーん!」
おぉ。感嘆の声が上がる。そこには
「県大会出場!!team弓場高校inバド部」
の文字。紙に書かれて掲げてある。
「これなら、、勝てそう」
「それな!がんばろーや!」
「ねえちょっとまって」
「絢音?」
「じゃん!」
さっきの紙の下に小さめの紙で
「まずは地区大会進出!!」
と書かれている。
「ぷっ」
誰かが吹き出した。
「ふへへ〜」
「あははははっ」
笑いの渦が起きる。なんかいいな、この雰囲気。
「ねぇこの下にさらに個人目標つけようよ!」
「いーねー!」
「茉莉、紙ある?」
「もっちろーん!」
「流石何でも屋」
「ちがうから!」
「まぁいいよ!書こ!」
私の目標は、『後悔しない。全力。』
中3の時に学んだ団結の大切さ。忘れない。みんなが茉莉のマステで貼りだす。
『団結!協力!笑顔!By柚』
『精一杯がんばる!ももか』
『ぜっっっっっっったい諦めない!愛莉』
『一球一球を大切にする 美結』
私の「後悔しない。全力。」
『楽しむぞ〜!バド愛を忘れないBy愛桜』
『バドを好きになって取り組む 絢音』
『好きこそ物の上手なれを信じる まつり』
『このメンツで笑顔で引退 友梨香』
「よっしゃあ!なんか青春!」
「それなぁ!」
「これからの練習、頑張ろ!」
「「おー!!」」
モチベーションが、ものすごく上がった気がした。
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