君のいた時を愛して~ I Love You ~
 スーパーでの買い物を済ませ、並びにある大手ドラッグストアに入ったコータは、サチが朝飲んでからになった薬の空箱を片手に、同じ薬を探して風邪薬のコーナーをウロウロした。
 しかし、似たような薬が沢山あるものの、同じ薬はなかなか見つからず、仕方ないのでコータは店員に薬箱を見せた。
「こちらでしたら、新しいものに変わってしまいましたので、症状に合わせてお選びいただく感じですが、のどの痛み、咳、鼻水など、どんな症状かお教えいただけますか?」
 店員の言葉に、コータは改めて考えながら首をひねった。
 改めてどんな風邪かと問われると、コータには思い当たる症状がなかった。熱が出たから風邪だろうと、勝手にコータが決めつけただけで、実際サチは喉が痛いとも、鼻水が出るとも言っていなかったし、咳もしていない。
「あっ、ちょっと確認します」
 コータは言うと、PHSを取り出し、サチに電話した。
「あ、サチ。風邪薬探してるんだけど、症状が分からないとどの薬を買っていいかわからないんだけど・・・・・・」
『コータ、多分、風邪じゃなくて、過労だと思う』
 サチの答えに、コータは一生懸命に色々なものを作っていたサチの姿を思い出した。
「わかった、じゃあ、熱さましだけ買って帰る」
 コータは言うと、電話を切り店員に熱を下げる薬を買いたいと伝えた。
 店員おすすめの解熱剤を買い、コータはまっすぐに家路についた。

☆☆☆

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