お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「あー、もう……」


色んなことを考えていると、死のうと決意した気持ちが揺らぎそうになる。


私は最後まで、可愛くない女だったなぁ……


お父さん。

お母さん。


私だけ助かったけれど、もういいよ。

残してくれた命を、無駄にしてしまってごめんね。


この世界で1人、絶望に伏した状態で生きていくくらいなら、死んだ方がマシだから。


今から私も、そっちに行くよ。



「お父さん……
お母さん……」


待ってて。



歩道橋によじ登り、ふっと目を閉じる。



ふわりと体が宙に浮く、その寸前。



───────グイっ!!



ものすごい力で腕を引かれ、ポスッと音を立てて、あたたかいなにかに包まれる体。



「なにを……何をなさっておられるのですかっ!!」


耳をつんざくような怒りの声に、思わずハッと目を見開いた。
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