お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「あの……それで私に一体何のご用でしょうか?」
見渡す限り、計り知れないほど広いお屋敷。
加えて、この部屋に来るまでに会った、何人かのメイドさんや執事らしき人たち。
たぶん、今私の隣に立ってる執事もどきの人も、その1人なんだろうけど……
この家、相当な資産家?お金持ち?な気がする。
きっと、この旦那様って言われてるおじいちゃんみたいな人が当主なんだと思う。
そんなにすごい人が一体何の用があって、一般庶民で親もいない、独り身の女子高生に?
ずっと不思議に思っていたことをぶつければ、旦那様は真剣な目で私を見つめてきた。
「美都………」
「は、はい……っ」
さっきとは打って変わった、重苦しい空気。
不思議と背筋がぴんと伸びる。
なんだろう?
まさか借金とか?
いやいや、そんな話両親から聞いたことないし……
それとも何?
もしかしてこれは全て都合のいい夢か何かなの?
「お前は……」
お前は?
「わしの……」
わしの?
ゆっくりゆっくり時間をかけて言葉を紡ぐ旦那様。
ゴクリと息を呑んで、速くなる鼓動で頭がいっぱいになった時。
「孫、なんじゃ……」
「そうなんですか。
私は旦那様の孫……」
ん?
え?
旦那様が信じられない言葉を口にした。
「どうした美都?
そんな間の抜けた顔をして。
お前はわしの孫だよ」
は?
今までの時間はなんだったんだと言いたくなるくらいスラスラ述べられたその言葉に、開いた口が塞がらない。
「ま、まごぉぉぉぉーーっ!?」