お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「美都っ……!!」
途端にあたたかいぬくもりと、優しい香りが全身を包む。
「っ……」
涙がとまらない。
「つら、かった……っ」
「うん」
「苦し、かった……っ」
「うん」
「お母さんも、お父さんもいなくなって、大事な人には裏切られて……もう自分なんかいてもしょうがないって。生きていたって、しょうがないって、ずっと、思って、た……っ」
2人のお葬式でも、付き合ってた彼氏に裏切られていた時も、こんなに泣けなかったのに。
こんなに落ち着いて、泣くことなんてなかったのに。
どうしてかな?
どうして、こんなに安心するのかな。
1人じゃないって、分かったからなのかな。
「お前はもう1人じゃないよ。わしがいる。おじいちゃんがいる。もう二度とお前を1人にすることはないよ。これからはここで一緒に住もう、美都」
「お、じいちゃっ………」
そっと髪を撫でる優しい手。
背中に回った、ほっとするぬくもり。
違う。
そうじゃない。
そうじゃないんだ。
おじいちゃんの腕の中で泣き続ける中、ふと気づいた。
ああ、そっか。
私は……
私はずっと……
誰かに。
誰かに自分の存在を、肯定して欲しかったんだ。