お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「よし!
そうと決まれば、早速じゃ!!」

「えっ!?
ちょっ、おじいちゃん!?」


「黒木!!」

「はい」


パンパンと召使いのように両手を叩いたおじいちゃんの声の直後。


「うわっ!?」


耳元で低い声が聞こえて、ふわりと持ち上がる身体。


えっ、この人どこから湧いてきたの!?


どうやら私が泣き出してからはこの部屋にはいなかったみたいだけど……


いつ出て行ったの?


てか、どういう状況なの、これ!?


どうしてまたお姫様抱っこされてるの!?


目を白黒させる私には構わず、さっきまでの穏やかな姿は嘘かと思うほど、おじいちゃんは鋭い目でコスプレイケメンを見ている。


「美都のことは全てお前に任せる。仕事でしばらく家を空けることも多いから、頼んだぞ」


「承知致しました」


「それと……今は美都の前だから何も言わんでおくが……分かっておるな?」


「何をでしょうか?」


なんとか視線だけをチラリと動かし見上げれば、最上級の笑顔でおじいちゃんを見つめるこの人。


うわぁ……

なんだろう、この挑発でもしているような胡散臭そうな笑顔は……


ましてやおじいちゃん相手なのに。


「分かっておるくせに、またそうやってはぐらかす……まあ、いい。逐一美都のことは報告し、何かあれば早急に対処できるようにしておく」


そして再びふんっ!!と鼻を鳴らし、口を尖らせるおじいちゃん。


なんかこの人相手だと、おじいちゃんがめちゃくちゃ子供っぽく見えるような……

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